難治性2型糖尿病の新たな原因と治療法:CATALYST試験が示す高コルチゾール血症の影響とミフェプリストンの効果(ADA2025レポート2)

CATALYST試験の概要と背景

難治性の2型糖尿病患者において、従来の治療法では血糖コントロールが困難なケースが多く報告されています。このような患者に対し、CATALYST試験では高コルチゾール血症(クッシング症候群)が潜在的な原因である可能性を検討しました。第1フェーズでは、1,057人の難治性2型糖尿病患者を対象に、1mgデキサメタゾン抑制試験(DST)を実施した結果、24%の患者が高コルチゾール血症を示しました。 News

ミフェプリストン(商品名:コルリム®)の治療効果

第2フェーズでは、高コルチゾール血症を示した患者を対象に、ミフェプリストン(コルリム®)の有効性と安全性を評価しました。その結果、ミフェプリストン投与群ではHbA1cが平均1.47%低下し、プラセボ群の0.15%低下と比較して有意な改善が認められました(プラセボ調整後の差:1.32%、p<0.0001)。 Clinicaltrial

高コルチゾール血症の診断と治療の重要性

高コルチゾール血症は、インスリン抵抗性の増加、肝臓での糖新生の促進、β細胞機能の低下など、糖尿病の管理を複雑にする要因となります。CATALYST試験の結果は、難治性2型糖尿病患者において高コルチゾール血症のスクリーニングと治療が重要であることを示しています。

今後の展望と臨床への応用

CATALYST試験の成果は、難治性2型糖尿病の管理において新たなパラダイムシフトをもたらす可能性があります。今後、より選択的なグルココルチコイド受容体拮抗薬であるレラコリラント(開発中)の研究も進められており、副作用の軽減が期待されています。 Pharmacy Times

当院でのサポート

 

現時点では糖尿病患者さんに対するルーチンでのコルチゾール測定(クッシング症候群)は行われておりませんが、今後の研究の成果によってはコルチゾールに対する治療アプローチが有効になってくるかもしれません。


監修者プロフィール

院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士(東京大学)

山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、20年間の専門の経験を活かし生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。

資格・専門性

  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医

  • 日本内科学会 総合内科専門医

豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患における最新の治療を提供しています。

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