肥満症

「肥満症」という病気

「肥満症」という病気肥満になっているかどうかは、身長と体重の比率を算出したBMI(Body Mass Index・体格指数)という指標によって確認できます。
以下の条件に該当する場合は肥満症の診断となります。

  1. BMI25以上で健康被害を併発している
  2. 健康被害は起こっていなくても内臓脂肪の多さを検査で指摘された

肥満症の診断とならない単なる肥満状態の方でも、BMIが25以上となると複数の疾患を発症するリスクがあるため注意が必要です。

GLP-1

GLP-1(痩せホルモン)とは

GLP-1ホルモンにはインスリンの分泌促進効果があり、食欲抑制に効果があるホルモンとして知られています。健康な方であれば食事の際に小腸から分泌され、脳に満腹であるという信号を伝達することで、過食を防ぐ働きをしています。
また、GLP-1ホルモンは、腸の働きや胃酸の分泌を抑制する効果もあり、食べ物の消化速度が遅くなることで空腹になりづらくなり、食欲低下につながるとも考えられています。さらに、膵臓に働きかけて血糖値を適切に調整する効果があるとも言われています。GLP-1ホルモンは個々それぞれで分泌量は異なり、多く分泌される方は痩せやすく、一方で分泌が少ない方は太りやすいと考えられています。したがって、肥満症の方に対しては、GLP-1受容体作動薬によって食欲抑制と太りにくい体質への改善を促していきます。
日本では主に2型糖尿病の治療で用いられていましたが、最近では肥満治療でも使用されるケースが増えてきています。

GLP-1受容体作動薬の内服薬

日本の医療現場では、ビクトーザ、サクセンダ、オゼンピックといったGLP-1受容体作動薬を使用することが一般的でしたが、いずれのお薬も注射で体内に注入するものであり、苦手意識を持つ方も多くいらっしゃいました。
しかし、最近ではリベルサスというGLP-1受容体作動薬を内服薬として使用するケースが出てきています。したがって、従来よりも安心して治療を受けて頂きやすくなりました。当院でもリベルサスを使った治療を行うことが可能です。

リベルサスとは?

リベルサスとは?GLP-1受容体作動薬の一つであるリベルサスは、食事量の軽減に効果があるセマグルチドという成分を含んでいます。
インスリンの分泌を促進することで血糖値を下げる働きを持っているだけでなく、腸の働きや胃酸の分泌を抑制する効果もあり食欲抑制が期待できます。また、糖尿病治療で使用されることもあります。
従来のGLP-1受容体作動薬は注射で体内に注入するものでしたが、リベルサスは内服薬として使用可能です。

リベルサスの主な特徴

リベルサスは以下のような特徴を持っています。

  • 無理のない食欲抑制
  • 太りづらい体質への改善
  • 自宅での治療が継続可能
  • 注射に抵抗感がある方でも取り組みやすい

リベルサスを服用すると、自然な食欲抑制効果があるため満腹感が持続しやすくなり、食事量が減少することで食べすぎに効果的と言われています。また、基礎代謝の向上や内臓脂肪の燃焼効果もあるため、太りづらい体質への改善へと繋がります。厳しい食事制限や負担が大きい運動をしなくても、無理のない食生活の見直しと運動習慣の継続によって体質改善が実現できます。

「2型糖尿病治療薬」の承認を受けている

リベルサスは2型糖尿病の治療薬として製造販売の認可が下りています。日本では2020年から認可が下り、2021年12月から販売スタートとなりました。したがって、服用時のリスクが小さく安全性が高いと言えます。
2型糖尿病をお持ちの方で運動療法や食事療法の効果が不十分な方は、リベルサスの服用によって血糖値を適切に調整することが可能です。

リベルサスでの治療の仕組み

リベルサスは以下のようなメカニズムで作用します。

  • GLP-1によるインスリン分泌の促進
  • 血糖値のコントロールによる食欲抑制
  • 胃腸の動きのコントロールによる緩やかな消化
  • 脂肪分解や代謝の促進

リベルサスの成分であるGLP-1によってインスリンの分泌が活性化され、血糖値が適切に調整されることで食欲抑制と食事量の減少に繋がります。
腸の働きや胃酸の分泌を抑制する効果もあり、食べ物が緩やかに消化されるようになり、空腹感を感じづらくなります。
また、脂肪分解や代謝促進も期待できるため、基礎代謝の向上による脂肪燃焼効果があると言われています。

リベルサス服用方法

  • 食事を摂っていない状態で、コップの約半分くらいの水で3mg錠、7mg錠、14mg錠のどれかを1錠ずつ飲んで頂きます。なお、コーヒー、お茶、服薬ゼリーを使って飲まないようにしてください。
  • 錠剤は割って小さくしたりせずにそのままの形で飲んでください。
  • リベルサスの服用後30分~2時間程度の間は、水分補給や食事をしないようにしてください。やむを得ず水分補給をする場合は、必要最小限の量に留めてください。
  • 服用を開始してすぐには意識障害が起こる恐れがあるため、成分量が最少の3mg錠から服用して頂きます。
  • 医師の指導の下で、段々と成分量を増やしていきます。

リベルサスによる副作用

リベルサスの服用の際には、以下のような副作用が起こる恐れがあります。

  • 胃腸障害(吐き気、嘔吐、胸やけ、下痢)
  • 消化が上手くできない
  • 目が回る
  • 味覚異常
  • 低血糖
  • 糖尿病網膜症

内服を継続することで胃腸障害は改善されていく場合があります。副作用がなるべく起こらないようにするため、通常は少しずつ服用量を増やしていきます。また、リベルサスの服用によって低血糖状態となることが稀にあります。なお、リベルサスは血糖値の上昇度合いに呼応して数値を下げるお薬ですので、血糖値が過度に下がる恐れは少ないと言われています。
上記以外の副作用が起こることもありますので、服用に関してのお悩みについては医師に相談することをお勧めします。

リベルサスに関してよくある質問

リベルサスについてのよく頂く質問について回答します。
保険適用となるか、いつ効果が出るか、使用できない方の特徴などを回答いたしますので、参考にしてみてください。


リベルサスは保険適用の対象ですか?

治療の用途によって保険適用となるかどうかが決まります。
糖尿病治療の際は保険適用となりますが、ダイエット治療の場合は適用の対象外です。

服用してからどれくらいで減量できますか?

早ければ服用後3か月程度で減量する方もいます。
なお、服用を中断してしまうと、インスリン分泌の促進や食欲抑制の効果は消えてしまいます。
治療をストップするとリバウンドのリスクもありますのでご注意ください。

リベルサスとDPP4阻害剤を併用できますか?

リベルサスとDPP4阻害剤は、原則として併用はできません。
DPP4阻害剤は食事の際のインスリン分泌をコントロールして血糖値を低下させるお薬です。
リベルサスとDPP4阻害剤はいずれもGLP-1受容体によって血糖値を下げる効果を持っています。
併用時の臨床実験に関するデータは未だ存在せず、効果や安全面が保障されていません。

妊婦が服用することは可能ですか?

妊婦や妊娠の可能性がある方の服用は禁止です。
その他、以下に当てはまるような方も服用が禁止となることがあります。

  • 18歳未満や高校生の方
  • 糖尿病患者の方
  • 利尿剤を使用している方
  • 精神安定剤を使用中の方

その他の治療薬

その他の治療薬肥満症を治療できる薬は、リベルサス以外にも当院では保険適用の漢方薬の防風通聖散やベイスン、α-グルコシダーゼ阻害薬「ベイスン錠」を処方しております。ベイスン、α-グルコシダーゼ阻害薬「ベイスン錠」は耐糖能障害のあるお客様も使用可能な内服薬です。「ベイスン錠」「ベイスンOD錠」(一般名:ボグリボース、以下「ベイスン」)は厚生労働省により国内で初めて「耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制」の効果を認められました。
お客様の症状をじっくり診察させていただき、1人1人に合った最適な治療薬を処方しております。

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