尿酸降下薬の種類と作用機序(ザイロリック、フェブリク、トピロキソスタットなど)について

尿酸とは?— 痛風と高尿酸血症の原因物質

尿酸は、プリン体(DNAやRNAの構成成分)が代謝されてできる老廃物です。通常は腎臓から排泄されますが、産生過剰または排泄低下により血中濃度が上昇し、「高尿酸血症」となります。

高尿酸血症の定義(日本痛風・尿酸核酸学会 2022)

  • 血清尿酸値7.0mg/dL以上

  • 尿酸が結晶化して関節に沈着すると痛風発作や腎障害の原因となる

高尿酸血症のタイプ

  1. 排泄低下型(約60%):腎からの排泄能力低下

  2. 産生過剰型(約10%):プリン体代謝の亢進

  3. 混合型(約30%):両者の要素を併せ持つ

尿酸降下薬の分類と作用機序の基礎

尿酸降下薬は、主に次の3つの作用機序に分類されます。

1. 尿酸生成抑制薬(キサンチンオキシダーゼ阻害薬)

  • 尿酸を生成する酵素(キサンチンオキシダーゼ)を阻害

  • 尿酸の元となるヒポキサンチン・キサンチンの段階で代謝を止める

2. 尿酸排泄促進薬

  • 尿細管における尿酸の再吸収を阻害し、尿中排泄を促進

  • 排泄低下型に有効だが、腎機能に依存する

3. その他(酵素分解促進薬など)

  • 海外ではペグロチカーゼなどが使用され、尿酸をアラントインに分解(日本では未承認)

代表的な尿酸降下薬の紹介と作用機序

アロプリノール(商品名:ザイロリック)

  • 世界的に最も長く使われている古典的キサンチンオキシダーゼ阻害薬

  • 尿酸生成を抑制、1日2〜3回投与

  • 肝代謝+腎排泄型、腎機能障害では減量必要

フェブキソスタット(商品名:フェブリク)

  • 非プリン型の選択的キサンチンオキシダーゼ阻害薬

  • 腎機能への依存が少なく、腎障害・高齢者にも使いやすい

  • 効果が強力で、尿酸値6.0mg/dL以下の達成率が高い[1]

トピロキソスタット(商品名:トピロリック)

  • フェブキソスタットと類似した作用を持つ

  • 心血管リスクが比較的低いとされる

  • 作用発現が緩やかで、初期悪化を抑える効果も報告あり[2]

ベンズブロマロン(商品名:ユリノーム)

  • 尿酸排泄促進薬の代表

  • 尿細管URAT1阻害により、尿酸再吸収をブロック

  • **肝障害のリスクあり(稀だが重篤)**ため、定期的な肝機能検査が必須

プロベネシド(国内ではあまり使用されない)

  • 尿酸排泄促進薬の元祖。NSAIDsやペニシリンと競合する点に注意

薬剤選択のポイントと安全性への配慮

選択のポイント

  • 排泄型か産生型かの病型判定(尿酸クリアランスなど)

  • **腎機能(eGFR)**や併用薬、既往歴を総合判断

安全性の観点

  • アロプリノール:スティーブンス・ジョンソン症候群に注意(特にHLA-B*5801陽性)

  • フェブリク:心血管リスクが上昇する報告あり(CARES試験)、ただし後続試験では否定的[3]

  • トピロリック:心血管疾患既往のある方でも比較的安全性良好

  • ユリノーム:重篤な肝障害のリスクがあるため慎重投与

当院でのサポート

 

当院では、痛風の予防だけでなく、糖尿病・腎疾患・動脈硬化予防の観点からも尿酸値を重視しています。

1. 尿酸値の定期測定とリスク評価

  • 尿酸値・腎機能(eGFR)・尿中尿酸排泄量などを総合的に評価

  • 尿酸とメタボリックシンドローム・インスリン抵抗性の関係にも注目

2. 適切な薬剤選択と投与量の調整

  • 初期悪化を防ぐため低用量から開始し、徐々に増量

  • 腎機能に応じた薬剤の選定

  • **生活習慣の是正(飲酒、プリン体摂取過多)**への指導も並行して実施

3. 合併疾患との総合管理

  • 糖尿病・脂質異常症・高血圧との連携治療

  • スタチンやSGLT2阻害薬など尿酸値に影響を与える薬剤の影響も考慮


監修者プロフィール

院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士(東京大学)

山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、20年間の専門の経験を活かし生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。

資格・専門性

  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医

  • 日本内科学会 総合内科専門医

豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患における最新の治療を提供しています。


引用文献

[1] Becker MA, et al. N Engl J Med. 2005;353(23):2450–2461.
[2] Hosoya T, et al. Clin Rheumatol. 2014;33(4):543–551.
[3] White WB, et al. N Engl J Med. 2018;378(13):1200–1210.

 

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