はじめに:橋本病とリウマチの関係性とは?

橋本病(慢性甲状腺炎)とリウマチは、どちらも自己免疫疾患であり、免疫系が自分の体の組織を攻撃することで引き起こされます。橋本病は、主に甲状腺を標的とし、甲状腺機能低下症を引き起こす病気です。一方、リウマチ(関節リウマチ)は、関節を中心に炎症が起こり、関節の痛みや腫れ、変形を引き起こします。
近年、これら2つの自己免疫疾患が同時に発症することが珍しくないことが分かってきました。両方の疾患に共通する免疫系の異常が関与しており、複数の自己免疫疾患を持つことは決して珍しいことではありません。この記事では、橋本病とリウマチの関係、症状、診断方法、そして当院で提供しているサポートについて詳しくご説明します。
橋本病とリウマチ:自己免疫疾患の共通点
橋本病とリウマチは、どちらも自己免疫疾患として分類されるため、免疫系が正常に機能せず、自分の組織を攻撃してしまう共通のメカニズムを持っています。具体的に、免疫系が誤って甲状腺(橋本病の場合)や関節(リウマチの場合)を攻撃することで炎症が生じ、長期的なダメージを引き起こします。
自己免疫疾患とは?
自己免疫疾患は、免疫系が自分の細胞や組織を異物と認識し、攻撃してしまう病気です。橋本病やリウマチのように、特定の臓器や組織に対する異常な免疫反応が発症の原因となります。これらの疾患は、遺伝的な要因や環境要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
橋本病の特徴
橋本病は、主に甲状腺に対する自己免疫反応が原因で発症し、甲状腺ホルモンの分泌が低下します。初期には無症状で進行することも多いですが、次第に疲労感、体重増加、寒さに弱くなるなどの甲状腺機能低下症の症状が現れます。
リウマチの特徴
リウマチは、主に関節に影響を与える自己免疫疾患です。関節の痛みや腫れ、朝起きたときのこわばりが特徴的で、進行すると関節の変形や運動機能の低下を引き起こすことがあります。リウマチは全身性の疾患であり、心臓や肺など他の臓器にも影響を与えることがあります。
厚生労働省 - 甲状腺の病気に関する情報 日本甲状腺学会 - 甲状腺疾患について 日本内分泌学会 - 甲状腺疾患について
橋本病とリウマチが同時に発症するリスク
橋本病とリウマチが同時に発症することは、決して稀ではありません。これらの疾患は、自己免疫疾患の一つとして互いに関連していることがあり、複数の自己免疫疾患を抱える患者は珍しくありません。
多重自己免疫症候群
「多重自己免疫症候群(Multiple Autoimmune Syndrome)」とは、一人の患者が二つ以上の自己免疫疾患を同時に抱える状態を指します。橋本病とリウマチを併発することは、この症候群の一例であり、特に自己免疫疾患の家族歴がある方に多く見られます。
遺伝的要因と環境要因
自己免疫疾患は遺伝的要因に加え、ストレスやウイルス感染、ホルモンの変動など、様々な環境要因がトリガーとなり発症することがあります。橋本病とリウマチが共に発症する場合も、これらの要因が重なって発症することが考えられます。
共通する症状
橋本病とリウマチの両方を持つ患者は、関節痛や疲労感などの症状が共通して見られることがあります。これは、甲状腺ホルモンの不足が体全体に影響を与えるためです。特に、橋本病の治療が不十分な場合、リウマチの症状が悪化することがあります。
橋本病とリウマチの診断方法

橋本病とリウマチの診断には、血液検査や画像検査が用いられます。両方の疾患が疑われる場合、専門医による正確な診断と治療が不可欠です。
血液検査
橋本病の診断では、甲状腺ホルモン(T3、T4)や甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値を測定する血液検査が行われます。また、自己免疫反応を確認するために、抗TPO抗体や抗サイログロブリン抗体の検査も重要です。
一方、リウマチの診断には、リウマチ因子(RF)や抗シトルリン化ペプチド抗体(甲CCP抗体、ACPA)の検査が行われ、関節の炎症や自己免疫反応を確認します。
画像検査
リウマチでは、X線や超音波、MRIなどの画像検査を使用して関節の状態を詳しく調べます。関節の炎症や損傷の程度を把握することで、治療方針を決定します。
甲状腺と関節の両方を確認
橋本病とリウマチが併発する場合、甲状腺機能や関節の状態を総合的に評価することが必要です。両方の疾患が互いに影響を与え合う可能性があるため、全身的な視点から診断と治療を進めることが求められます。
当院でのサポート
