甲状腺の腫れ:セルフチェックで早期発見を!

はじめに:甲状腺の腫れとは?

甲状腺は、首の前方に位置する小さな器官で、体の代謝やエネルギーの調整を司る甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺の腫れは、甲状腺自体の異常や全身的な病気の一症状として現れることがあり、早期発見が大切です。腫れに気づかずに放置すると、機能異常や腫瘍の進行を招く可能性があるため、適切な検査と治療が必要です。

この記事では、甲状腺の腫れに関する基本的な知識、セルフチェック方法、注意すべき症状、および当院での診療内容について詳しく解説します。自分でできる簡単なチェックで早期発見を目指し、少しでも不安があれば、専門医の診察を受けることをおすすめします。

\1分以内でわかる甲状腺の腫れの見分け方/

甲状腺の腫れの原因と主な疾患

甲状腺の腫れは、様々な原因で発生することがあります。以下は、主な原因とそれに関連する疾患の概要です。

  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
    甲状腺が過剰に働き、ホルモンを過剰に分泌することで腫れを引き起こすことがあります。バセドウ病はその代表的な疾患で、甲状腺が全体的に腫れて硬くなることが特徴です。動悸や体重減少、過剰な発汗などの症状を伴うことが多いです。

  • 甲状腺機能低下症(橋本病など)
    甲状腺の機能が低下し、ホルモン分泌が不足することで、甲状腺が腫れることがあります。特に、自己免疫性疾患である橋本病では、免疫系が甲状腺を攻撃し、慢性的な炎症と腫れを引き起こします。倦怠感や寒がり、むくみなどの症状が現れることがあります。

  • 甲状腺結節・腫瘍
    甲状腺にしこり(結節)や腫瘍ができることで、局所的な腫れが生じることがあります。結節は多くの場合良性ですが、悪性(甲状腺がん)の場合は、早期発見と治療が非常に重要です。首の前部にしこりを感じたり、飲み込みづらさを感じることがある場合は、早急に受診することが望ましいです。

  • 亜急性甲状腺炎
    甲状腺に急性の炎症が起こり、強い痛みと腫れを伴う疾患です。風邪や感染症などがきっかけで発症し、痛みや発熱を伴うことが多いです。症状が激しい場合には、安静と適切な治療が必要です。

これらの疾患は、いずれも早期発見・早期治療が重要です。腫れに気づいたら放置せず、専門医による診察を受けることをお勧めします。

厚生労働省 - 甲状腺の病気に関する情報

日本甲状腺学会 - 甲状腺疾患について

日本内分泌学会 - 甲状腺疾患について

甲状腺の腫れを見つけるためのセルフチェック方法

甲状腺の腫れは、自分で簡単にチェックすることができます。以下の方法を参考に、日常的にセルフチェックを行い、異常を早期に発見しましょう。

  • セルフチェックの手順

    1. 姿勢の確認
      鏡の前に立ち、首を伸ばしてまっすぐにします。肩の力を抜き、リラックスした状態で行いましょう。

    2. 水を一口飲む
      水を一口飲み、ゆっくりと飲み込みます。飲み込む際に、首の前部(甲状腺が位置する部分)をよく観察しましょう。

    3. 腫れやしこりの確認
      飲み込む動作を繰り返しながら、首の前部に腫れやしこりがないかをチェックします。左右非対称に膨らんでいる場合や、しこりが動く、触れて痛みがある場合は、異常の可能性があります。

    4. 触診によるチェック
      鏡を見ながら、両手の指で首の前部(喉ぼとけの下)を優しく触り、しこりや硬い部分がないか確認します。痛みを感じたり、明らかな腫れがある場合は、専門医の診察を受けましょう。

  • セルフチェックの頻度 特に症状がない場合でも、月に1~2回を目安にセルフチェックを行うことで、早期発見に繋がります。家族に甲状腺疾患の既往歴がある場合や、不調を感じる場合は、さらに頻繁に行うことをおすすめします。

セルフチェックで異常を感じた場合は、放置せずに専門医の診察を受けることが重要です。当院では、超音波検査や血液検査を用いて正確な診断を行います。

甲状腺の腫れに伴う症状と注意すべきポイント

甲状腺の腫れは、さまざまな全身症状と関連して現れることがあります。以下の症状が見られた場合は、甲状腺の異常を疑い、早めに受診しましょう。

  • 体重の増減
    食事や運動習慣が変わらないにもかかわらず、急激な体重増減が見られる場合は、甲状腺ホルモンの異常が原因であることがあります。甲状腺機能亢進症では体重が減少し、甲状腺機能低下症では体重が増加します。

  • 疲労感や倦怠感
    甲状腺ホルモンの異常は、エネルギー代謝に影響を与えるため、慢性的な疲労感や倦怠感を引き起こします。朝起きても疲れが取れない、日中に眠気が強いと感じる場合は、甲状腺機能の低下を疑いましょう。

  • 動悸や息切れ
    甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、心臓の働きが活発になり、動悸や息切れ、脈拍数の増加が見られることがあります。逆に、ホルモンが不足すると心拍数が減少し、疲れやすさやだるさを感じることがあります。

  • 喉の違和感や声の変化
    甲状腺の腫れが大きくなると、喉に圧迫感や違和感を感じることがあります。また、声帯を圧迫することで、声がかすれる、低くなるといった変化が現れることもあります。これらの症状が続く場合は、甲状腺の検査を受けることが望ましいです。

  • 精神的な変調
    甲状腺ホルモンは、脳や神経系にも影響を与えるため、ホルモンバランスの乱れは、イライラや不安感、集中力の低下など、精神的な変調を引き起こすことがあります。特に、これらの症状が長期間続く場合は、甲状腺の機能異常を疑いましょう。

これらの症状は、甲状腺疾患だけでなく、他の病気とも関連することがあります。自己判断せず、専門医による診断を受けることが重要です。

当院で行う甲状腺の腫れに関する検査と治療

 

蒲田駅前やまだ内科糖尿病・甲状腺クリニックでは、甲状腺の腫れやしこりに対して、専門的な診断と治療を行っています。以下は、当院で行う主な検査と治療内容です。

  • 診察と問診
    患者様の症状や体調について詳しくお伺いし、腫れやしこりの状態を確認します。家族歴や既往歴なども詳しくお聞きし、総合的に評価します。

  • 血液検査
    甲状腺ホルモン(T3、T4)および甲状腺刺激ホルモン(TSH)のレベルを測定し、甲状腺機能の状態を確認します。必要に応じて、自己免疫性疾患の有無を確認するための抗体検査(抗サイログロブリン抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体など)も行います。

  • 超音波検査(エコー検査)
    超音波を用いて甲状腺の大きさ、形状、内部の状態を詳しく調べます。しこりや腫瘍の有無を確認し、悪性の可能性がある場合は、さらに詳細な検査(細胞診など)を検討します。

  • 治療方法の提案
    診断結果に基づき、患者様に最適な治療法を提案します。甲状腺機能低下症の場合はホルモン補充療法、甲状腺機能亢進症の場合は抗甲状腺薬や放射性ヨード療法を検討します。結節や腫瘍が疑われる場合は、手術や放射線療法などの選択肢も検討します。

  • 定期的なフォローアップ
    治療後も、定期的な診察と検査を行い、治療効果を確認しながら長期的な健康管理をサポートします。患者様の生活の質を向上させるため、細やかなケアを心がけています。

当院では、患者様一人ひとりに合わせたオーダーメイドの治療を提供し、安心して治療を受けていただける環境を整えています。少しでも不安を感じたら、ぜひお気軽にご相談ください。


監修者プロフィール

院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)

山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。

資格・専門性

  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
  • 日本内科学会 総合内科専門医

豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患における最新の治療を提供しています。

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