甲状腺機能と亜鉛の関係:亜鉛不足が及ぼす影響

はじめに:甲状腺と亜鉛の役割について

甲状腺は、体の代謝やホルモンバランスを調整する重要な器官です。甲状腺ホルモンの分泌が正常でないと、体全体に影響を与え、疲労感や体重増加、寒さに対する感覚の変化など、さまざまな症状が現れることがあります。近年、亜鉛が甲状腺の健康維持に重要な役割を果たすことが注目されています。

亜鉛は、体内で多くの酵素の働きをサポートし、免疫機能や細胞の修復・生成、ホルモンの分泌に重要です。亜鉛が不足すると、甲状腺の機能にも悪影響を及ぼす可能性があります。本記事では、亜鉛と甲状腺機能の関係、亜鉛不足による影響、亜鉛を効率よく摂取する方法、そして当院でのサポートについて詳しく解説します。

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亜鉛と甲状腺機能の関係

亜鉛は、甲状腺ホルモンの生成に関与している微量元素であり、甲状腺の健康維持に不可欠な栄養素です。甲状腺ホルモンは、体の代謝を調整するために必要であり、その生成には亜鉛が必要不可欠です。亜鉛が不足すると、甲状腺ホルモンの合成が阻害され、甲状腺機能に異常をきたすことがあります。

亜鉛の役割

亜鉛は、以下のように甲状腺ホルモンの生成と活性に重要な役割を果たしています。

  • 甲状腺ホルモンの合成:亜鉛は、甲状腺ホルモンの生成をサポートするため、甲状腺が適切にホルモンを分泌するために不可欠です。
  • ホルモンの活性化:亜鉛は、甲状腺ホルモンが体内で効果的に作用するためのプロセスにも関与しています。亜鉛が不足すると、ホルモンの働きが低下し、代謝が鈍くなります。
  • 免疫機能の調整:亜鉛は、免疫機能にも影響を与え、自己免疫疾患である橋本病やバセドウ病といった甲状腺疾患の発症リスクに関与している可能性があります。

亜鉛不足が甲状腺に与える影響

亜鉛が不足すると、甲状腺機能が低下し、甲状腺機能低下症のような症状が現れることがあります。疲労感や集中力の低下、体重増加、寒さに敏感になるといった症状が代表的です。特に、食事からの亜鉛摂取が不十分な場合や、消化吸収の問題がある場合は、亜鉛不足が進行しやすくなります。

厚生労働省 - 甲状腺の病気に関する情報 日本甲状腺学会 - 甲状腺疾患について 日本内分泌学会 - 甲状腺疾患について

亜鉛不足が引き起こす症状とリスク

亜鉛不足は甲状腺だけでなく、全身にさまざまな影響を及ぼします。甲状腺ホルモンの生成が妨げられると、甲状腺機能低下症に類似した症状が現れることが多く、その兆候を見逃さないことが大切です。

亜鉛不足の主な症状

  • 疲労感:亜鉛不足による甲状腺機能の低下は、エネルギーの代謝が遅くなるため、疲れやすくなります。
  • 体重増加:代謝が低下すると、食べ物から得たエネルギーが効率よく消費されず、体重が増えやすくなります。
  • 寒がりやすい:甲状腺ホルモンが不足すると、体温調節がうまくいかず、寒さに敏感になります。
  • 集中力の低下:ホルモンバランスの乱れにより、集中力や記憶力が低下することがあります。
  • 脱毛や肌荒れ:亜鉛は細胞の修復や生成にも関わっているため、不足すると髪や肌の健康に悪影響を及ぼします。

甲状腺疾患のリスク

亜鉛不足は、甲状腺機能に悪影響を与えるだけでなく、自己免疫疾患のリスクも高めます。橋本病やバセドウ病は、免疫システムが甲状腺を攻撃することによって発症しますが、亜鉛は免疫機能を正常に保つ役割も果たしているため、これらの疾患の発症リスクに関与している可能性があります。

亜鉛を効率よく摂取する方法

亜鉛不足を防ぐためには、食事やサプリメントを通じて十分な量を摂取することが重要です。亜鉛は動物性食品や一部の植物性食品に多く含まれており、バランスの取れた食事を心がけることで、必要な量を確保することができます。

亜鉛を多く含む食品

亜鉛は以下の食品に多く含まれています。

  • 牡蠣:亜鉛の豊富な供給源として知られており、少量でも多くの亜鉛を摂取できます。
  • 牛肉や豚肉:動物性タンパク質が豊富な食品は、亜鉛も多く含んでいます。
  • 豆類:ひよこ豆やレンズ豆などの豆類も、亜鉛の供給源として優れています。
  • ナッツ類:カシューナッツやアーモンドなどのナッツも、手軽に亜鉛を摂取できる食品です。

サプリメントの利用

食事から十分な亜鉛を摂取できない場合や、亜鉛不足が疑われる場合には、サプリメントを利用することも効果的です。しかし、亜鉛は過剰に摂取すると体内のバランスを崩す可能性があるため、適切な量を守ることが重要です。サプリメントを使用する際は、医師に相談してから始めることをお勧めします。

生活習慣の見直し

亜鉛の吸収は、消化器系の健康状態にも影響されます。胃腸の調子が悪いと亜鉛の吸収が妨げられることがあるため、腸内環境を整えることも大切です。また、過度なアルコール摂取やストレスも亜鉛の吸収に悪影響を及ぼすため、バランスの取れた生活習慣を心がけることが大切です。

当院でのサポート

 

蒲田駅前やまだ内科糖尿病・甲状腺クリニックでは、亜鉛不足が疑われる方や、甲状腺機能に問題を感じている方に対して、包括的な診療とサポートを提供しています。甲状腺疾患は、専門的な診断と治療が必要なケースが多いため、早期発見と適切な治療が大切です。

当院の診療体制

  • 専門的な血液検査
    当院では、甲状腺ホルモンや亜鉛レベルをチェックするための血液検査を実施しています。亜鉛の不足が疑われる場合、定期的なモニタリングを行いながら、必要に応じてサプリメントや食事療法のアドバイス

を行います。

  • 個別に合わせた治療計画
    患者様一人ひとりの状態に合わせて、個別の治療計画を提案します。亜鉛不足による甲状腺機能低下の改善には、生活習慣の見直しや食事療法を取り入れることが重要です。

  • 長期的なフォローアップ
    甲状腺疾患の治療は長期にわたる場合が多いため、定期的な診察とフォローアップを行い、患者様の健康管理をサポートしています。甲状腺ホルモンのバランスや亜鉛レベルの調整を行い、健康維持をサポートします。

甲状腺に関する不安や疑問がある方は、ぜひ当院にご相談ください。適切な診断と治療を受けることで、症状の改善と健康な生活を取り戻すことができます。


監修者プロフィール
院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)

山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。

資格・専門性
日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
日本内科学会 総合内科専門医
豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患の診断と治療を提供しています。

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