甲状腺機能の異常が引き起こす脱毛症:原因と治療方法

はじめに:甲状腺機能と脱毛の関係性とは?

甲状腺は体内の代謝や成長、エネルギー消費に関わる重要なホルモンを分泌する器官であり、甲状腺機能の異常が全身に影響を及ぼすことが知られています。その中でも、脱毛症は多くの患者様が悩む問題の一つです。甲状腺ホルモンの分泌過剰または不足が、髪の健康に影響を与え、脱毛や薄毛を引き起こすことがあります。

本記事では、甲状腺機能の異常による脱毛症の原因やメカニズム、治療方法について、最新の学会報告や厚生労働省のガイドラインを参考に解説します。当院で提供している治療方法についても触れていますので、脱毛症にお悩みの方はぜひご覧ください。

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甲状腺機能低下症による脱毛症

甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンの分泌が不足する状態)は、しばしば体全体の代謝低下を引き起こします。これにより、髪の成長周期も遅くなり、脱毛症が引き起こされることがあります。具体的な影響は以下の通りです。

  • 成長期の縮短化:髪の成長は通常、成長期、休止期、脱毛期というサイクルで進行しますが、甲状腺ホルモンが不足すると成長期が短くなり、毛髪が早期に脱毛期に入ることが多くなります。
  • 髪の質の変化:髪が細く、弱くなり、抜けやすくなります。また、頭皮全体で髪のボリュームが減少することがよく見られます。
  • 眉毛や体毛にも影響:甲状腺機能低下症による脱毛は、頭髪だけでなく、眉毛やまつ毛、体毛にも影響を及ぼすことがあります。特に眉毛の外側が薄くなることが特徴です。

これらの症状は、甲状腺機能低下症の治療が行われることで徐々に改善されるケースが多いです。

厚生労働省 - 甲状腺の病気に関する情報

日本甲状腺学会 - 甲状腺疾患について

日本内分泌学会 - 甲状腺疾患について

甲状腺機能亢進症による脱毛症

甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンの過剰分泌)は、代謝が亢進するため、髪の成長に悪影響を与えることがあります。代謝の急激な変動が毛髪のサイクルに影響を及ぼし、脱毛症のリスクが高まります。

  • 脱毛の進行が早い:甲状腺機能亢進症では、体内の代謝が過度に活発になるため、成長期の髪が早急に休止期に移行し、抜け毛の量が増加します。
  • 全体的な薄毛:頭皮全体で薄毛が進行することが多く、特定の部位に集中しているのではなく、髪全体のボリュームが減少します。
  • 精神的ストレスとの関連:甲状腺機能亢進症では、イライラや不安などの精神的症状も伴うため、これらの要因がさらに脱毛を悪化させることもあります。

甲状腺機能亢進症の治療により、代謝が正常化されることで、脱毛症も改善される可能性があります。

甲状腺機能異常による脱毛症の診断と治療方法

甲状腺機能異常による脱毛症は、早期の診断と適切な治療が非常に重要です。当院では、以下のような診断と治療方法を提供しています。

  • 血液検査による甲状腺ホルモンの測定
    甲状腺ホルモンの分泌量を正確に把握するため、血液検査でTSH(甲状腺刺激ホルモン)やT3、T4を測定します。これにより、甲状腺機能低下症や亢進症があるかどうかを確認します。

  • 超音波検査(エコー検査)
    甲状腺の形態や腫れ、結節の有無を確認するため、超音波検査を行います。甲状腺の状態が脱毛の原因であるかどうかをより詳しく調べるために役立ちます。

  • 治療方法
    甲状腺機能低下症の場合は、ホルモン補充療法(チラージンなど)を使用し、ホルモンバランスを回復させます。甲状腺機能亢進症の場合は、抗甲状腺薬(メルカゾールなど)を用いてホルモンの過剰分泌を抑制します。これらの治療を通じて、脱毛の改善が期待できます。

甲状腺ホルモンが正常に戻ることで、脱毛症の症状が徐々に改善されることが多く、個々の患者様に合わせた治療計画を立てて治療を進めていきます。

当院でのサポート:甲状腺と脱毛症に対する治療

 

当院「蒲田駅前やまだ内科糖尿病・甲状腺クリニック」では、甲状腺機能異常に伴う脱毛症の治療において、患者様に合わせた最適な治療プランを提供しています。最新のガイドラインに基づき、専門的な診療を行っています。

  • 定期的なフォローアップと治療の調整
    治療の効果を継続的にモニタリングし、必要に応じて治療方法を調整します。甲状腺機能の回復が見込まれる場合には、脱毛の改善も期待できます。

甲状腺機能の異常による脱毛症でお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。甲状腺機能を正常化させることで、脱毛の改善を目指します。

 

監修者プロフィール

院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)

山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。

資格・専門性

  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
  • 日本内科学会 総合内科専門医

豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患の診断と治療を提供しています。

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