甲状腺疾患と免疫力:感染症のリスクと対策を徹底解説

はじめに:甲状腺疾患と免疫力の関係性

甲状腺は代謝を司る重要な内分泌器官ですが、甲状腺の機能異常が免疫力にも影響を及ぼすことが分かっています。甲状腺ホルモンのバランスが崩れると、免疫系にも悪影響を及ぼし、感染症のリスクが高まることがあります。また、甲状腺疾患の多くが自己免疫疾患であることから、免疫機能の低下や過剰反応が体全体に影響を及ぼす可能性があります。

本記事では、甲状腺疾患が免疫力にどのような影響を与えるのか、そして感染症のリスクを軽減するための対策について、最新の学会報告や厚生労働省のガイドラインを参考に解説します。当院で提供しているサポートについてもご紹介しますので、甲状腺疾患に関するお悩みがある方はぜひご参考ください。

甲状腺疾患と免疫力の低下:感染症リスクの高まり

甲状腺疾患が免疫力に与える影響は非常に大きく、特に免疫機能が低下することで、様々な感染症にかかりやすくなることが知られています。

  • 甲状腺機能低下症による免疫力の低下
    甲状腺ホルモンが不足すると、代謝が低下し、免疫機能も低下します。これにより、ウイルスや細菌に対する抵抗力が弱まり、感染症にかかりやすくなります。特に、風邪やインフルエンザ、肺炎などの呼吸器感染症のリスクが高まります。

  • 甲状腺機能亢進症による免疫の過剰反応
    逆に、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される甲状腺機能亢進症では、免疫系が過剰に反応し、自己免疫反応がさらに強まります。これは、甲状腺が自己攻撃を受ける原因となるだけでなく、外部の病原体に対しても免疫反応が不安定になることがあります。このような免疫の過剰反応は、炎症や感染症の悪化につながることがあります。

  • 自己免疫性甲状腺疾患と感染症リスク
    橋本病やバセドウ病など、自己免疫が原因で発症する甲状腺疾患は、免疫システムのバランスが崩れるため、感染症への抵抗力が低下することが報告されています。これらの疾患を持つ患者様は、特に注意が必要です。

  • 厚生労働省 - 甲状腺の病気に関する情報

    日本甲状腺学会 - 甲状腺疾患について

    日本内分泌学会 - 甲状腺疾患について

甲状腺疾患による感染症リスクを軽減するための対策

甲状腺疾患を抱える患者様が感染症のリスクを軽減するためには、日常生活での予防対策が重要です。以下に、具体的な対策を紹介します。

  • ワクチン接種の重要性
    甲状腺疾患を持つ方は、感染症予防のためにインフルエンザや肺炎球菌などのワクチン接種が推奨されます。特に、免疫力が低下しやすい甲状腺機能低下症の患者様や、自己免疫疾患を抱える方には、定期的な予防接種が感染症リスクを軽減するために効果的です。

  • 適切な食生活と栄養管理
    免疫力を高めるためには、バランスの取れた食生活が不可欠です。特にビタミンC、ビタミンD、亜鉛、鉄分などの栄養素は免疫機能の維持に重要です。甲状腺疾患のある方は、これらの栄養素を積極的に摂取することで、感染症への抵抗力を高めることが期待されます。

  • 適度な運動と休息
    免疫力を維持するためには、適度な運動と十分な休息が重要です。特に、ストレス管理が免疫力に大きな影響を与えるため、ヨガやウォーキングなどの軽い運動を日常に取り入れ、ストレスを軽減することが推奨されます。

  • 感染予防策の徹底
    手洗いやうがい、マスクの着用といった基本的な感染予防策を徹底することも重要です。特に、免疫力が低下しやすい甲状腺疾患の患者様にとって、これらの対策は日常的に実践するべき重要な手段です。\1分以内でわかる甲状腺と食事 うがい薬/

甲状腺疾患と感染症の関連に関する最近の知見

近年の学会や厚生労働省のガイドラインにおいて、甲状腺疾患と感染症リスクの関連についての研究が進んでいます。ここでは、最近の知見をいくつかご紹介します。

  • 自己免疫疾患と感染症リスク
    自己免疫性の甲状腺疾患(例:橋本病、バセドウ病)は、免疫システムが自己攻撃を行うことで、感染症に対する抵抗力も弱まることが指摘されています。最近の研究では、自己免疫疾患を持つ患者は、一般的な感染症だけでなく、ウイルス感染や真菌感染のリスクも高まることが報告されています。

  • 甲状腺ホルモンと免疫システムの関係
    甲状腺ホルモンは、免疫システムの調整に重要な役割を果たしていることが分かってきています。ホルモンバランスが崩れることで、免疫細胞の機能が低下し、感染症に対する防御力が低下するというメカニズムが明らかにされつつあります。これに基づき、甲状腺機能を正常に保つことが、感染症リスクの低減に重要であることが強調されています。

  • ガイドラインでの推奨
    厚生労働省のガイドラインでは、甲状腺疾患を持つ患者に対して、適切な治療と生活習慣の改善が感染症予防に有効であることが推奨されています。特に、定期的な医療機関での診察を受け、甲状腺ホルモンの状態をモニタリングすることが重要です。

当院でのサポート

 

当院「蒲田駅前やまだ内科糖尿病・甲状腺クリニック」では、甲状腺疾患による免疫力低下や感染症リスクの管理において、専門的な診療とサポートを提供しています。感染症リスクを軽減し、健康的な生活を送るための治療プランを患者様に合わせてご提案します。

甲状腺疾患と感染症リスクに不安を感じている方は、ぜひ当院にご相談ください。専門的な治療と総合的なサポートで、感染症のリスクを軽減し、健康的な生活をお送りいただけるよう支援いたします。

 

監修者プロフィール

院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)

山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。

資格・専門性

  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
  • 日本内科学会 総合内科専門医

豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患の診断と治療を提供しています。

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