甲状腺疾患と疲労感:慢性疲労の原因は甲状腺かも?

はじめに:甲状腺疾患が疲労感に与える影響とは

日常生活で「常に疲れている」「休息を取っても疲れが取れない」と感じることはありませんか?慢性的な疲労感は、仕事や家事、趣味を楽しむ意欲を奪い、生活の質を低下させます。こうした疲労感の原因として、甲状腺の異常が関与している場合があります。

甲状腺は首の前方に位置し、代謝やエネルギー消費を調整するホルモンを分泌しています。このホルモンのバランスが崩れると、エネルギーの産生や消費が不適切に行われ、疲労感を引き起こします。甲状腺疾患が原因で起こる疲労感は、放置すると体調の悪化や他の病気のリスクを高めることがあるため、早期の診断と治療が重要です。

本記事では、甲状腺疾患と疲労感の関係について詳しく解説し、蒲田駅前やまだ内科糖尿病・甲状腺クリニックでの診療内容をご紹介します。疲労感に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

\1分以内でわかる甲状腺と疲れ/

甲状腺ホルモンの役割と疲労感の関係

甲状腺ホルモン(T3、T4)は、体内のあらゆる細胞に働きかけ、エネルギー代謝を促進する役割を担っています。このホルモンの分泌量が適切でないと、身体のエネルギー生産に影響を与え、さまざまな不調を引き起こします。

  • 甲状腺機能低下症と疲労感
    甲状腺ホルモンが不足する「甲状腺機能低下症」は、体全体の代謝が低下するため、エネルギー不足を引き起こします。これにより、以下のような症状が見られます。

    • 持続的な疲労感:何時間寝ても疲れが取れず、日中もだるさを感じます。
    • 集中力の低下:仕事や勉強に集中できず、日常的な判断力も鈍ります。
    • 筋肉のだるさや痛み:体全体にエネルギーが行き渡らず、筋肉の回復力が低下します。
    • 無気力感・抑うつ状態:身体的な疲労とともに、精神的な倦怠感や抑うつ感も引き起こされます。
  • 甲状腺機能亢進症と疲労感
    逆に、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される「甲状腺機能亢進症」では、代謝が過剰に活発になるため、エネルギー消費が急速に進み、以下のような症状を引き起こします。

    • 過度の疲労感:エネルギーが過剰に消費され、体が疲れ果てた状態に陥ります。
    • 動悸や息切れ:代謝の亢進により心拍数が増加し、体のエネルギーが急速に消耗されます。
    • 手の震えや筋肉の緊張:神経系にも影響を与え、手の震えや筋肉の緊張感が強くなります。
    • 不眠や不安感:エネルギー消費が過剰になるため、眠れない、リラックスできないなどの症状が見られます。

これらの症状が見られる場合、甲状腺ホルモンの異常が原因である可能性があるため、早期の診断と治療が必要です。

甲状腺疾患が原因の疲労感を見分けるポイント

甲状腺疾患が原因で起こる疲労感は、他の原因による疲労と異なる点があります。以下のポイントに注意して、甲状腺の検査が必要かどうかを見極めましょう。

  • 疲労感の持続期間と改善しにくさ
    通常の疲労は、十分な休息や睡眠で改善しますが、甲状腺疾患による疲労感は休んでも取れず、長期間続くことが特徴です。特に朝起きた時点で既に疲れている、何日も続く慢性的な疲労感がある場合は、甲状腺の検査を検討しましょう。

  • 体重の変化を伴う疲労感
    甲状腺ホルモンのバランスが崩れると、体重の増減が顕著になります。体重が急激に増えた、または減ったにもかかわらず、疲労感が続く場合は、甲状腺の異常が疑われます。

  • 他の症状の有無
    疲労感以外にも、動悸、寒がり、暑がり、便秘、下痢、皮膚の乾燥、抜け毛などの症状が同時に見られる場合は、甲状腺ホルモンの異常が関与している可能性が高まります。

  • 家族歴の有無
    甲状腺疾患は遺伝的要素も強いため、家族に甲状腺疾患の既往歴がある場合は、自身も発症リスクが高まります。家族に甲状腺疾患がある方で、疲労感が続く場合は、積極的に検査を受けることをおすすめします。

  • ストレスや生活環境の変化との関連性
    甲状腺疾患は、ストレスや生活環境の変化と密接に関係しています。過度のストレスや環境の変化により、甲状腺ホルモンのバランスが崩れることがあります。ストレスの多い生活を送っている方は、定期的に甲状腺の検査を受けることが望ましいです。

これらのポイントに当てはまる場合、甲状腺の異常を疑い、専門医に相談することが重要です。当院では、患者様一人ひとりの状態を丁寧に診察し、適切な診断と治療を行っています。

厚生労働省 - 甲状腺の病気に関する情報

日本甲状腺学会 - 甲状腺疾患について

日本内分泌学会 - 甲状腺疾患について

当院での甲状腺疾患に対する診断と治療

蒲田駅前やまだ内科糖尿病・甲状腺クリニックでは、甲状腺疾患に対して専門的な診断と治療を提供しています。以下は、当院で行う主な診断と治療の流れです。

  • 診察と問診
    最初に、患者様の症状や体調の変化について詳しくお伺いします。特に、疲労感の持続期間や他の症状の有無、家族歴などを確認し、総合的な評価を行います。

  • 血液検査によるホルモン測定
    甲状腺ホルモン(T3、T4)および甲状腺刺激ホルモン(TSH)のレベルを測定し、甲状腺の機能を正確に評価します。必要に応じて、自己免疫性疾患の有無を確認するための抗体検査(抗サイログロブリン抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体など)も行います。

  • 超音波検査(エコー検査)
    超音波を用いて甲状腺の大きさや形状、内部構造を詳しく調べます。しこりや腫瘍の有無を確認し、異常が見られた場合は、さらに詳細な検査を行います。

  • 治療方針の決定
    診断結果に基づき、患者様に最適な治療法を提案します。甲状腺機能低下症の場合はホルモン補充療法、甲状腺機能亢進症の場合は抗甲状腺薬や放射性ヨード療法を行います。治療開始後も定期的なフォローアップを行い、治療効果と副作用を確認しながら治療計画を調整します。

  • 生活習慣改善のアドバイス
    甲状腺疾患の治療と並行して、生活習慣の見直しも重要です。バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理が治療効果を高めることに繋がります。当院では、患者様のライフスタイルに合わせたアドバイスも行い、健康的な生活のサポートをしています。

当院では、患者様の健康と生活の質を向上させるため、最善の治療を提供します。少しでも不安を感じたら、お気軽にご相談ください。

甲状腺疾患の予防と定期検査の重要性

 

甲状腺疾患は、適切な治療を受けることで、生活の質を保ちながら健康的に過ごすことができます。しかし、早期発見が重要なため、以下のポイントを押さえて予防と定期検査を行いましょう。

  • バランスの取れた食生活
    甲状腺ホルモンの合成に必要な栄養素(ヨウ素、セレン、亜鉛など)を適度に摂取することが大切です。ただし、ヨウ素の過剰摂取は逆効果となる場合があるため、適量を心がけましょう。

  • 適度な運動
    適度な運動は、体全体の代謝を促進し、ホルモンバランスの維持に役立ちます。ウォーキングやヨガなどの軽い運動を習慣にすることをおすすめします。

  • ストレス管理
    ストレスは甲状腺ホルモンのバランスに影響を与えるため、リラックスできる時間を持つことが重要です。趣味やリラクゼーション法(深呼吸、瞑想など)を取り入れ、心身の健康を保ちましょう。

  • 定期的な健康チェック
    特に家族に甲状腺疾患の既往歴がある方や、日常的に疲労感を感じている方は、定期的な甲状腺の検査を受けることが重要です。早期発見と治療が、長期的な健康維持に繋がります。

当院では、甲状腺疾患の予防と早期発見のため、定期的な健康チェックを推奨しています。気になる症状があれば、ぜひ一度ご相談ください。

 

監修者プロフィール

院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)

山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。

資格・専門性

  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
  • 日本内科学会 総合内科専門医

豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患の診断と治療を提供しています。

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