新たな肥満・糖尿病治療薬「CagriSema(カグリセマ)」長時間作用型アミリン類似体とは? ~REDEFINE 1・2試験の最新結果とその臨床的意義~(ADA2025レポート4)

新たな肥満・糖尿病治療薬「CagriSema(カグリセマ)」とは?

~REDEFINE 1・2試験の最新結果とその臨床的意義~CagriSemaの概要と作用機序

CagriSema(カグリセマ)は、Novo Nordisk社が開発中の週1回皮下投与の固定用量配合薬で、長時間作用型アミリン類似体であるカグリリンチド(cagrilintide)2.4mgとGLP-1受容体作動薬であるセマグルチド(semaglutide)2.4mgを組み合わせたものです。この2つの成分は、食欲抑制と満腹感の増加を通じて、摂取カロリーの減少と体重減少を促進します。(引用元)

アミリンは膵臓β細胞から分泌されるホルモンで、食後の血糖上昇を抑制し、満腹感を高める作用があります。カグリリンチドは、このアミリンの作用を模倣することで、食欲を抑制し、体重減少を促進します。

REDEFINE 1試験の結果(2型糖尿病を有さない肥満・過体重成人対象)

REDEFINE 1試験は、2型糖尿病を有さない肥満または過体重の成人3,417人を対象に、CagriSema、カグリリンチド単独、セマグルチド単独、プラセボの4群で比較した68週間の第3相試験です。(引用元)

 

結果は以下の通りです:

  • 体重減少率

    • CagriSema群:22.7%

    • カグリリンチド単独群:11.8%

    • セマグルチド単独群:16.1%

    • プラセボ群:2.3%(引用元)

  • 25%以上の体重減少を達成した割合

    • CagriSema群:40.4%

    • カグリリンチド単独群:6.0%

    • セマグルチド単独群:16.2%

    • プラセボ群:0.9%(引用元)

これらの結果は、CagriSemaが単剤療法よりも優れた体重減少効果を持つことを示しています。

REDEFINE 2試験の結果(2型糖尿病を有する肥満・過体重成人対象)

REDEFINE 2試験は、2型糖尿病を有する肥満または過体重の成人1,206人を対象に、CagriSemaとプラセボを比較した68週間の第3相試験です。(引用元)

結果は以下の通りです:

  • 体重減少率

    • CagriSema群:15.7%

    • プラセボ群:3.1%(引用元)

  • 5%以上の体重減少を達成した割合

    • CagriSema群:89.7%

    • プラセボ群:30.3%(引用元)

また、CagriSemaはHbA1cの改善にも寄与し、血糖コントロールの向上が確認されました。

これらの結果は、CagriSemaが2型糖尿病患者においても有効な体重減少および血糖コントロールの改善をもたらすことを示しています。

安全性と今後の展望

CagriSemaの安全性プロファイルは良好であり、最も一般的な副作用は軽度から中等度の消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢)であり、時間とともに軽減する傾向がありました。

現在、CagriSemaは心血管疾患を有する成人を対象としたREDEFINE 3試験や、他の肥満治療薬との比較を行うREDEFINE 4試験など、さらなる臨床試験が進行中です。これらの試験結果により、CagriSemaの適応拡大や治療戦略の最適化が期待されています。

当院でのサポート

 

蒲田駅前やまだ内科糖尿病・甲状腺クリニックでは、最新の肥満・糖尿病治療薬に関する情報提供と、患者様一人ひとりに合わせた治療計画の立案を行っております。CagriSemaを含む新しい治療法に関するご相談や、肥満および2型糖尿病の管理についてのご質問がございましたら、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。(引用元)


監修者プロフィール

院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士(東京大学)

山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、20年間の専門の経験を活かし生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。

資格・専門性

  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医

  • 日本内科学会 総合内科専門医

豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患における最新の治療を提供しています。

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