月1回の肥満治療薬「MariTide(マリタイド)」とは? ~最新の臨床試験データとその臨床的意義~(ADA2025レポート3)

MariTideとは何か?その特徴と背景

MariTide(マリタイド)は、Amgen社が開発中の新しい肥満治療薬で、月1回またはそれ以下の頻度で皮下投与されることを特徴としています。この薬剤は、GLP-1受容体作動薬とGIP受容体拮抗薬の二重作用を持つ抗体ペプチド複合体であり、体重減少と血糖コントロールの改善を目的としています。(引用元)

第2相臨床試験(Phase 2)では、肥満または過体重の成人592人を対象に、MariTideの有効性と安全性が評価されました。その結果、52週間で最大約20%の体重減少が確認され、体重減少のプラトー(停滞期)は観察されませんでした。これは、長期的な体重減少の可能性を示唆しています。 (引用元)

マリデバート・カフラグルチドの第2相マリタイド試験では、月1回またはそれ以下の投与頻度で、52週時点で顕著な体重減少が見られ、プラトー現象は見られませんでした。治験責任医師らは、シカゴで開催される第85学術会議において、2型糖尿病の有無にかかわらず、被験者における結果の詳細を発表する予定です。

臨床試験データの詳細とその意義

第2相試験の結果、以下のような有意な効果が確認されました:

  • 体重減少肥満または過体重の被験者で最大約20%の体重減少が観察されました。(引用元)

  • 糖尿病患者への効果2型糖尿病を有する被験者では、最大約17%の体重減少とHbA1cの最大2.2%の低下が確認されました。Amgen

  • 副次的効果血圧やコレステロール値などの心代謝指標の改善も報告されました。

これらの結果は、MariTideが肥満および2型糖尿病の治療において有望な選択肢であることを示しています。 DiaTribe

MariTideの新規性と独自性

MariTideの最大の特徴は、その作用機序にあります。従来のGLP-1受容体作動薬とは異なり、MariTideはGLP-1受容体を活性化しつつ、GIP受容体を拮抗することで、食欲抑制とエネルギー消費の増加を同時に促進します。この二重作用により、より効果的な体重減少が期待されています。 DiaTribe

また、月1回またはそれ以下の頻度での投与が可能であり、患者の治療アドヒアランスの向上が期待されます。これは、週1回の投与が必要な他の肥満治療薬と比較して、患者の負担を軽減する利点があります。

安全性と今後の展望

第2相試験において、MariTideの副作用は主に軽度から中等度の消化器症状(吐き気、嘔吐、便秘)であり、これらは主に初回投与時に観察され、時間とともに改善されました。重篤な副作用は報告されておらず、安全性プロファイルは良好とされています。

現在、Amgen社はMariTideの第3相臨床試験(MARITIMEプログラム)を進行中であり、肥満および関連疾患に対する長期的な有効性と安全性の評価が行われています。これにより、将来的な承認と臨床応用が期待されています。 Precision Medicine

当院でのサポート

 

マリデバート・カフラグルチド、長時間作用型ペプチド抗体複合体は、新規の二重特異性グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体作動薬およびグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)受容体拮抗薬です。本剤はGLP-1をアップレギュレーションし、GIP経路をダウンレギュレーションすることで体重を減少させます。

蒲田駅前やまだ内科糖尿病・甲状腺クリニックでは、最新の肥満治療薬に関する情報提供と、患者様一人ひとりに合わせた治療計画の立案を行っております。MariTideのような新しい治療法に関するご相談や、肥満および2型糖尿病の管理についてのご質問がございましたら、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。


参考文献

  1. Once-weekly cagrilintide for weight management in people with overweight and obesity: a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled and active-controlled, dose-finding phase 2 trial https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)01751-7/abstract

  2. Amgen Announces Robust Weight Loss with MariTide in People Living with Obesity or Overweight at 52 Weeks in a Phase 2 Study. Amgen. 2024年11月26日. MarketWatch+11Amgen+11DelveInsight+11

  3. New Drug MariTide Shows Promising Weight Loss Results. diaTribe. 2024年12月. Clinical Trials Arena+2DiaTribe+2バイオファーマダイブ+2

  4. Amgen Launches Phase 3 Trials for Monthly Obesity Drug MariTide. Trial MedPath. 2025年3月. Clinical Trials Arena+3MedPath+3バイオファーマダイブ+3

  5. Amgen's Obesity Candidate, MariTide, Shows Promise in Phase II. Inside Precision Medicine. 2025年1月. Inside Precision Medicine+1Clinical Trials Arena+1


監修者プロフィール

院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士(東京大学)

山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、20年間の専門の経験を活かし生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。

資格・専門性

  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医

  • 日本内科学会 総合内科専門医

豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患における最新の治療を提供しています。


当院では、肥満および2型糖尿病の治療において、最新のエビデンスに基づいた治療法を提供しております。MariTideを含む新しい治療法に関するご相談は、ぜひ当院までお気軽にお問い合わせください。

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