甲状腺と動脈硬化の関係

はじめに

甲状腺は私たちの代謝やエネルギー生成に重要な役割を果たす臓器であり、甲状腺ホルモンは全身の細胞に影響を与えます。甲状腺機能が低下すると、代謝が遅くなり、体内の脂肪やコレステロールの蓄積が進みやすくなります。これは、血管の健康にも関わり、動脈硬化を引き起こす一因となり得ます。近年、甲状腺機能と動脈硬化の関連性に注目が集まっており、特に高齢者や甲状腺疾患を抱える患者様において、心血管リスクが高まることが分かっています。本ページでは、甲状腺疾患と動脈硬化に関する最新の知見やリスクについて解説し、予防のためにできることを詳しくご紹介します。

甲状腺機能と血管の健康

甲状腺は、体内でエネルギーを生成し、基礎代謝を調整する役割を持ちます。甲状腺ホルモンは心臓や血管の機能に影響を与えるため、甲状腺の異常が血管健康に影響を及ぼすことが知られています。特に甲状腺機能低下症では、体温が低下しやすく、血液の流れが遅くなるため、血管にかかる負担が増します。これにより、血管壁が厚くなり、動脈硬化が進行する可能性があります。また、血中のコレステロールやトリグリセリドの値が上昇し、血管に蓄積されるリスクも増大します。甲状腺の健康は、単にホルモンバランスだけでなく、血管や心血管の健康にも関わる重要な要素です。

甲状腺機能低下症と動脈硬化リスク

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンが十分に分泌されなくなる状態で、代謝が低下することにより多くの健康リスクをもたらします。この状態が長く続くと、脂質異常症、特に悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪の増加が進み、血管内にコレステロールが蓄積しやすくなります。このため、動脈の壁が硬くなり、血流が悪くなる動脈硬化が進行するリスクが高まります。さらに、甲状腺機能低下症は血圧の上昇を招くこともあり、動脈硬化の進行に拍車をかける要因となり得ます。特に高齢者や、既に心血管リスクを抱えている方にとっては、甲状腺機能低下症の管理が動脈硬化予防の一環として重要です。

甲状腺ホルモンのバランス維持と生活習慣改善

甲状腺ホルモンのバランスを整えるためには、日々の生活習慣が大きな影響を与えます。例えば、食生活では抗酸化作用が期待できるビタミンCやビタミンE、甲状腺機能に関わるミネラルであるセレンやヨウ素が含まれる食品をバランスよく摂取することが推奨されています。セレンは特に甲状腺の健康維持に重要で、ホルモンの生成や代謝に深く関与しています。さらに、適度な有酸素運動は血液循環を促進し、血管の健康を保つことで動脈硬化の予防につながります。ただし、過度な運動は逆効果になる場合もあるため、無理なく取り組むことが大切です。当クリニックでは、患者様の甲状腺状態や個別のリスクに合わせた生活習慣改善のアドバイスを提供しています。

当院でのサポート

 

蒲田駅前やまだ内科糖尿病・甲状腺クリニックでは、甲状腺疾患や動脈硬化リスクのある患者様に向けた専門的な診療を行っています。甲状腺機能の状態を把握するための詳細な検査を実施し、結果に基づいて適切な治療プランを提案します。特に、動脈硬化リスクを評価する際には、血中脂質のバランスや血圧管理を総合的に考慮し、患者様ごとに最適な治療計画を立てることを重視しています。また、当クリニックでは、通院の利便性を高めるためにLINEでの検査結果通知サービスも提供しており、迅速な対応が可能です。甲状腺疾患と動脈硬化リスクに関するお悩みや不安をお持ちの方は、どうぞお気軽にご相談ください。


監修者プロフィール
院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)

山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。

資格・専門性
日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
日本内科学会 総合内科専門医
豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患の診断と治療を提供しています。

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